豆知識・FAQ

豆知識 第7講地球に優しい空気輸送装置の実現

空気輸送装置はエネルギーをたくさん使うんだろ!

いいえ!
空気輸送装置を適正に設計すれば省エネが出来るんです。

デンカエンジニアリングの空気輸送装置は

  • 輸送速度からの省エネルギー:最適なガス速度で輸送します。
  • 「拡管方式」による省エネルギー:無駄な圧力損失を削減します。
  • 配管ルートからの省エネルギー:最短・最適なルート選定で輸送します。

省エネルギーを考えた設計により「エコ」を実現します。本講では、その一部を説明します。

01輸送速度からの省エネルギーの実現

  • 輸送ガス動力は、ガス量とガス圧力に比例します。
  • 空気輸送の圧力損失は前講で述べた通り、次の式で表されます。 
    ΔPt=ΔPa+ΔPs
    ΔPt:輸送圧力
    ΔPa:ガスの流れによって生ずる圧力損失
    ΔPs:粉粒体の流れによって生じる圧力損失
    上の式は、均一流で固気二相流が安定している輸送域では以下のように書き換えることが出来ます。
  • ΔPt = ΔPa(1+ mα)
    ΔPt:輸送圧力
    ΔPa:ガスの流れによって生ずる圧力損失
    m :固気比(濃度:粉粒体の重量/ガス重量・・・単位時間当たり)
    α :粉粒体固有の抵抗係数(輸送試験・実績データから求めます)
  • この式から、輸送圧力はΔPaを下げることで省エネルギーとなることがわかります。
    ΔPaはガスの流れによって生ずる圧力損失なので、配管内のガス流速を遅くすると下がります。
  • 省エネ対策として輸送ガス量を下げる方法が有効です。
    ところが、管内のガス流速が下がり過ぎると粉粒体の流れが不安定となり、最悪の場合「輸送管閉塞」が起きてしまいます。

ガス流速、輸送圧力と輸送管閉塞の関係を図に示すと、下図7-1のようになります。

図7-1 同じ粉粒体搬送量でガス流速を変えた際の輸送圧との関係

この問題に対してデンカエンジニアリングが提案するのが、輸送管閉塞を防ぎ、ガス流速を下げる「拡管方式」です。

02「拡管方式」を用いた省エネルギーの実現

  • 輸送管内の圧力は、粉粒体輸送の下流に行くに従って低下します。
  • 圧力が低下すると輸送ガスは膨張するので、管内のガス速度が上昇します。必要以上にガス速度が上昇すると、無駄な圧力損失を生じさせる結果となります。
  • 対策として、輸送配管を、下図7-2のように途中で拡管し、ガス流速を低く維持します。
  • 図7-2 輸送配管拡管によるガス流速変化

    管内ガス速度が低い状態を維持して、無駄な圧力損失の発生を防止し、省エネルギーを実現します。
    デンカエンジニアリングはコンピュータシミュレーションにより最も適した拡管の位置を設計します(位置が不適切な場合は、ガス流速が低下し過ぎることでトラブルの原因となります)。

    03配管ルートによる省エネルギーの実現

    配管ルートの選定が適切でないと、不要な圧力損失が発生し、省エネルギーが実現出来ません。
    また、固気二相流では、流動時に固(粉粒体)と気(輸送ガス)の速度に差が生じます。

    特にベンド(曲管)部では粉粒体の減速が大きくなってしまうため、速度の差が大きくなってしまいます。
    粉粒体が減速すると、後から流れてきた粉粒体が追いついてしまうため、不要な圧力損失が発生します。

    配管ルートの選定ポイント

    • 極力短いルートを選定する
    • ベンドの数を減らす
    • ベンドの連続を避ける

    最適な配管ルートの選定は、省エネルギー上のみならず、輸送管閉塞防止の上においても重要な設計ポイントです。